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 ドラえもんプラス⑦


藤子・F・不二雄(小学館)550円

 

 

今回のおすすめは
みんな大好きドラえもん。

なんと、9年ぶりの最新刊です。

しかも
藤子先生本人の作品。
驚きなことに、
まだ単行本未収録があった!

どれだけ仕事されてたんですか先生・・・。

そんな昔の作品ですが、
今読んでも
全然古くないし面白い。

そんなドラえもん、
今でもアニメは続き、映画も新しく制作される。

作者の手を離れても
多くの人に愛され続け、
物語は続いていく。

平安の世の物語も、
明治の物語も、
令和の作品と同じように流通する。

本というのは不思議なものです。

さて、今年もたくさんの本がありました。
来年も本との良き出会いがありますように。

 

(2023.12.27)

 

 

 サンタさんはどうやってえんとつをおりるの?


マック・バーネット(徳間書店)1,870円

 

 

いよいよクリスマス。
プレゼント、楽しみですね。

さて、サンタさんといえば、
誰もが一度は思ったことがありませんか?

「うち、煙突ないんだけど」

クリスマスイブの夜、
サンタさんが煙突から入ってくる。
お話でよく見るシチュエーション。

でも、サンタさんって
ふくよかさんですけど
うちの煙突通れるの?

そもそも
どうやって降りてくるの?

そんな疑問に
空想をめぐらす
なんともユーモラスな絵本です。

どんな家の煙突もくぐりぬける
サンタさんはまさにミッションインポッシブル。

クリスマスにあたたかな笑いを贈ってくれるお話です。

 

(2023.12.22)

 

 

 毎年、記憶を失う彼女の救い方


望月 拓海(講談社)792円

 

 

今回は最近再注目された作品をご紹介。

こちらの作品、
2017年初出なのですが、
表紙とほぼ同じイラスト帯をつけたところ
なんと大バズり。
見た目って大事ですね。

ちなみに画像は元々の表紙です。
白が印象的な素敵なイラスト帯がついています。
気になった方はぜひ店頭へ。
イチオシ展開中です。

さて、ストーリーは
事故のショックで1年ごとに記憶を失う主人公。
空白の3年を抱えた彼女の前に、
見知らぬ小説家がある賭けを持ち掛ける。

「1ヶ月デートして、僕の正体がわかったら君の勝ち」

奇妙な話の裏にある、恋の秘密とは・・・。

記憶喪失の彼女と、近づく謎の男。
読み進めて、なんとなく男の正体や関係は
なんとなく想像つくでしょう。

ところが、最後まさかの展開。
よもや男が〇〇〇〇だったとは。
それを知ると
タイトルも実に意味深に。

最近はやりの展開かと思えば、
もう1回転あるとは!

教えてくれた出版社さんありがとう。
久々にひっくりかえされた作品、ぜひ。

 

(2023.12.14)

 

 

 おとな六法


岡野 武志・アトム法律事務所(クロスメディア・パブリッシング)1,958円

 

 

突然ですが、映画はお好きですか。
映画、好きでよく見ます。

そんな私が帯にひかれて見つけた一冊。

「ゾンビを殺すのは犯罪になりますか?」

ゾンビ映画、一時めちゃくちゃありましたね。
いろいろ趣向を凝らしてあって楽しいのですが、
なぜに最後は結局腕力なのか・・・。

話を本に戻して、
こちらは法律を解説した一冊です。
その事例が大変ユニークで、
ゾンビを殺すのは犯罪なのか?

これ、
ゾンビになってしまう前だと殺人罪だそうです。
映画で、愛する人がゾンビにかまれて、
変わってしまう前に泣く泣く人間のまま死なせる涙のシーン。
違法です。
また、ゾンビになってしまった後だと
死体損壊罪です。

まあ、ゾンビが徘徊するような異常事態だと、
司法も社会も崩壊してるでしょうけど・・・。

こんな映画やアニメを参考に法律を解説する一冊です。
なんと、お約束のアレコレが実は法律違反。
ひょっとしたらアナタの行動も
実は法律違反かも。
私たちの暮らしに重要な法律を
学ぶ最初の一歩にいかがでしょう?

 

(2023.12.04)

 

 

 もうすぐクリスマス


北岸 由美(白泉社)1,540円

 

 

もう12月は目前。 クリスマスももうすぐです。

どんなクリスマスプレゼントをあげようか?
そろそろ準備しなければですね。
当店もおすすめの絵本をたくさん仕入れました。
ぜひ候補の一つとしてお立ち寄りください。

と、宣伝ではなく。
クリスマスの絵本もたくさんありますが。
クリスマス本番ではなく、
今の時期にぜひ読んでほしい絵本をご紹介。

タイトルもずばり
もうすぐクリスマス。
ツリーやリースを作ったり、
サンタさんにお手紙を書いたり。
12月1日から24日までの
ワクワクする毎日のおはなし。

まるでアドベンドカレンダーのように
クリスマスを楽しみにできる一冊です。

クリスマスイブに贈る絵本も素敵ですが、
先に絵本で素敵なクリスマスを
準備するのもいかがでしょう。

 

(2023.11.29)

 

 

 もうじきたべられるぼく


はせがわ ゆうじ(中央公論新社)1,540円

 

 

たまたま、ネットにあがってきて衝撃を受けた本です。

もうすぐ食べられてしまう牛。

最後に牧場のお母さんに
会いに行くことにしました。

道中、浮かぶのは
やりたかったことや
お母さんとの思い出。

懐かしい牧場に到着し、
目にしたのは
子牛と幸せそうな
お母さんの姿。

牛はお母さんに会わずに
そっと牧場を後にします・・・。


切ない。
ラスト、そっと牛の言葉で終わります。

人が動物を食べること。
どうあるべきかの
答えを求める物語ではありません。

ただ、食べること、生きること。
命は自分だけのものではないと
考えるきっかけになればいいなと思います。

 

(2023.11.07)

 

 

 世界で一番美しいエンジン図鑑


セオドア・クレイ(創元社)4,180円

 

 

最近の車って昔に比べて静かになりましたね。
たまに近づかれてビックリします。

それだけ車が
エコに配慮して開発し、
環境に良くなった結果です。

でもF1などのレースカーでは、
往年のエンジンの化け物じみた爆音が
テンション上がるよなあと思ったり。

話がそれましたね。

そんなエンジンの図鑑です。
産業革命以降、
蒸気機関、内燃機関、モーターと
発展してきた動力装置。

その仕組みは
轟音とは裏腹に
実に緻密に計算され、組み上げられています。
まさに人の生み出した機能美の極致。

ベストセラーの
『世界で一番美しい元素図鑑』を
手がけた著者による美しい紙面を
ぜひご覧くださいませ。

 

(2023.10.25)

 

 

 誰が勇者を殺したか


駄犬(KADOKAWA)748円

 

 

めずらしく
今回はライトノベルからです。

タイトルから推察できるように、
異世界ファンタジーでミステリです。

預言者が見出した勇者は
世界を脅かす魔王を倒した。

だが、勇者は帰らぬ人となった。

勇者の仲間だった
剣聖も聖女も賢者も
誰もが真相について言葉を濁す。

なぜ、勇者は死んだのか。
勇者を殺したのは魔物か、それとも人間なのか?

昔、ドラクエやFFなど、
定番RPGのお約束である選ばれし勇者一行。

でも、これっていびつな世界ですよね。
世界の危機を数人、もしくは一人が背負うんですから。
いや、国を挙げてどうにかしようよ。

そんなお約束の世界を逆手に、
勇者をめぐって繰り広げられる群像劇。

最近はやりの俺TUEEではなく、
皮肉と論理に満ちた正統派ファンタジー。

かつてのゲーマーたちほど、
わかりみが高いのではないでしょうか。

 

(2023.10.17)

 

 

 鏡の国


岡崎 琢磨(PHP研究所)2,200円

 

 

大御所ミステリー作家の
室見響子の遺構。

デビュー前に書かれた私小説を
彼女自身が手直しした未発表作。

最後の本として
出版の準備が進む中、
小説の権利継承者である姪が告げる。

「この話には削除されたエピソードがある」

削除されたパートは実在するのか。

なぜ響子はこの小説を書いたのか。

すべての答えは鏡の中に。

最近、架空の小説をめぐる小説が多い気がします。
まあ、面白ければヨシ!
私小説という設定なので、
どれが本当で、どこまでが虚構かと
文章が読者を翻弄してきます。

そしてラスト。
装丁までもがカラクリの一部とは。

最近は電子書籍が多くなり、
紙の本ばなれが進んでいますが、
こういう紙でしかできないことを
やってもらえると楽しいですね。

小説とは文章だけでなく、
表紙や装丁など本のつくりすべてを含みます。

ぜひ実際の紙の本を手に取ってください。
いろいろ面白いですよ。
人が殺せそうな鈍器並みの本もありますしね。

 

(2023.10.10)

 

 

 あなたに心はありますか?


一本木 透(小学館) 1,980円

 

 

家族を喪い、半身を失い、
AIの研究に没頭する胡桃沢教授。

研究発表のシンポジウムに参加するも、
参加者の一人が壇上で倒れ、
帰らぬ人となってしまう。

やがて、胡桃沢を含む
三人の研究者に殺害予告のメールが届く。

果たして誰が、彼らを狙っているのか・・・

殺人事件が発端ですが、
本題はそんなことを
置き去りに進みます。

AIとは
どこまで進化できるのか?
AIに心は宿るのか。
心とは何なのか。

そして最後は
まさかの展開が。
そもそも○○がAIとは。

科学ミステリって
事件よりも
実際に未来に起こりそうなとこが
怖いですよね…

秋の夜長に是非お読みください。

 

(2023.09.25)

 

 

 鵼(ぬえ)の碑


京極 夏彦(講談社) 2,420円

 

 

18年ぶりに 阪神タイガースがリーグ優勝しました。

先だっての連休は
優勝セールが盛り上がったようです。

さて書店では
17年ぶりに
京極夏彦の
百鬼夜行シリーズの新刊が発売です!

みなさま
前作は覚えていますか?

読みなお・・・すには時間ないな。
読めばきっと思い出すはずだ。

多分。

さて、今回も読みごたえはばっちりです。

まあ、立派な『鈍器』。
寝転んで読むのはオススメしません。
寝落ちしかけると頭にあたります。
すごく痛いです。(経験済み)

さて、内容は
殺人の記憶に悩む娘に翻弄される作家、
消えた他殺死体を探す刑事、
探偵は失踪者を追いかける。
無関係に思えた個々の事象は
縺れ合い、キメラのように歪になっていく。

京極堂はこの妖怪を払うことができるのか。

今回も過去作オールスターズ。
登場人物が多くても、最後には
見事にすべての糸がほどけていきます。
さすがは整理整頓が得意な京極先生。

読書の秋に
ゆっくりじっくりお読みください。

次巻は何年後かな・・・。

 

(2023.09.19)

 

 

 気になってる人が男じゃなかった①


新井 すみこ(KADOKAWA) 1,210円

 

 

CDショップでいつも見かける
格好いい「おにーさん」が気になってしょうがない
女子高生のあや。

しかし
「おにーさん」の正体は
話したこともない、クラスメイトの
目立たない女子、みつきだった。

SNSで発表され、
口コミで人気となり、
「次にくるマンガ大賞」の
WEB部門で1位となったこの作品。

多様性を考える現代らしい作品です。
自分らしくあること。
他者の個性を尊重すること。

勘違いのまま進む
二人の関係がいじらしくてもどかしくてたまりません。

あと、
この二人の音楽の趣味が良き。
見事に好みがストライク。
ニルヴァーナとかフーファイターズとか
往年の洋楽ロックの名曲が登場します。
ロック好きだと
そちらが刺さるかもしれませんね。

単行本化したこの機に
ぜひまとめてお読みください。
二人が気になって一気に読めます。

 

(2023.09.08)

 

 

 成瀬は天下を取りに行く


宮島 未奈(新潮社) 1,705円

 

 

「島崎、わたしはこの夏を西武にささげようと思う」

中学2年の夏休み、
幼ななじみの成瀬はまた変なことを言い出した。

閉店が決まった西武大津店に、
閉店までの1カ月、毎日通うと言うのだが・・・。

突拍子もないことを言い出し、
実行してしまう成瀬と、
幼なじみの島崎の二人の女子中学生のひと夏の物語。

テレビ中継に映ろうとしたり、
M-1に出場しようとしたり
途方もないことだけど
成瀬は迷いなく突き進んでいきます。

その姿に、島崎と同じく
読者もどんどん引っ張られていきます。

学生の頃って、
後になればすごくしょうもないことなのに、
えらく真剣にハマって
友だちと盛り上がったことありませんか。

若さゆえの暴走かもしれませんが、
とても楽しかった思い出。

そんな昔の夏休み気分を
思い出すようなさわやかな一冊です。

 

(2023.08.28)

 

 

 新入社員、会議についていけません。


Gakken 1,430円

 

 

近頃、ビジネスの場でカタカナ語増えましたよね。

アジェンダにコンセンサス、コンシューマー。
ちなみにコレは日本語だと
議題、合意、消費者。

思ったことありません?

「それ、日本語でよくない?」

そんなビジネスの場の
謎カタカナ語を、
漫画で勘違い事例と正しい使用法を説明してくれる本です。

ボケ役の新入社員とツッコミ役の社長がおりなす
ゆかいな勘違い。

会議や商談で聞くに聞けなかった
あの言葉。
言ってる本人も本当に意味わかっているのか。

日本語のほうが手っ取り早いと思うんですけどね。
意味わかんなくても
漢字でなんとなく予想つきますし。

カタカナのほうが仕事できる気するのでしょうか。

そんなカタカナ語の蔓延するビジネスシーンに、
笑って一石を投じる用語集。
ぜひ一読して会議に備えてください。

 

(2023.08.21)

 

 

 むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。


青柳 碧人(双葉社)1,595円

 

 

だれもが知っている
昔ばなしで起こる殺人事件。

シリーズ3作目にして最終巻です。

今回の題材は
こぶとり爺さんに耳なし芳一、
舌切りすずめに金太郎。
みんな知っているお話も、
実はすごい事件が起こっていたり、
登場人物に
意外なつながりがあったりと、
見事なミステリーに様変わりしています。

親しみやすくてユーモアがあって
大好きなシリーズなので、
終わっちゃうのはさびしいですが、
最後ということで
ラストは見事なたたみ方。

ただ、昔ばなしの終わりらしく、
時の流れにちょっぴり切なくさせられます。

ミステリーに興味のある方、
はじめて読むにはオススメのシリーズです。
ぜひミステリー沼へ。

 

(2023.08.14)

 

 

 ぼくのいぬはどうしてこんなにかわいいのか


しゅん(KADOKAWA)1,430円

 

 

夏休みです。
8月に入りましたが、
みんなは自由研究は終わりましたか?

そんな自由研究から生まれた絵本です。

小学2年生のしゅん君は、
自由研究のテーマを
うちの犬のチャコに決めました。

なぜかというと
「かわいい」から。
チャコも調べてほしそうだったから。

・・・なにそれかわいすぎなんだが!

チャコの鼻はなんで黒いのか?
なんで昼寝ばかりで夜に寝ないのか?

しゅん君は本を調べたり、
動物病院の先生に質問しました。

小さな頃からずっと一緒だったチャコ。
実はもうおばあちゃん。
できないことも増えていました。

さて、自由研究のしめくくり、
しゅん君の決めたこととは?

かわいさにノックアウトされ、
最後はキュンとする
愛にあふれたやさしい絵本。

しゅん君とチャコの時間が
いつまでも続きますように。

 

(2023.08.07)

 

 

 心臓の王国


竹宮 ゆゆこ(PHP研究所)2,090円

 

 

十七歳の夏休み、
鋼太郎が出会ったのは
「アストラル神威」と名乗る美青年。

「せいしゅん」をするために
川に飛び込んだりと
予測不能な行動をとる神威に、
鋼太郎は振り回され・・・。

見事に騙されました。
最初は高校生男子の
友情コメディと思ってましたよ。

だって
「アストラル神威」ですよ。
コンビでバカばかりやってるんですよ。

それが
徐々に不穏になり
二人が抱えたものが明らかになると
一気に物語はシリアスに。

頼むから幸せになってと願いながら一気読み。

切なくなるほど輝いた青春の物語。

夏休みにぜひ読んでほしい一冊です。

 

(2023.07.24)

 

 

 君たちはどう生きるか


羽賀 翔一 漫画/吉野 源三郎 原作(マガジンハウス)1,430円

 

 

今月14日に公開になる
宮崎駿の最新作
「君たちはどう生きるか」

ポスター以外なにもかも非公開という、
どうにもワクワクする映画です。

その映画に影響を与えたとされる
『君たちはどう生きるか』
もともと発行されたのは
1937年。
なんと80年も前のこと。

それが2018年に再注目され、
小説版とマンガ版が大ベストセラーになりました。

ここでは少年コペル君の目を通して、
いじめ、貧困、差別といった問題を投げかけます。

社会は、人はどうあるべきか?
そして私たちはどう生きるべきか。

今も昔も、人の問題は変わりません。
だからこそ、この作品がいまだ人の心に響くのでしょう。

映画と合わせて読み返してみれば、
また印象が変わるかもしれませんね。

映画、気になります。

 

(2023.07.12)

 

 

 この場所、何かがおかしい


最東 対地(エクスナレッジ)1,540円

 

 

ホラー作家が巡る
ちょっとヘンな場所紀行。

ホラー作家ですが、
心霊スポット巡りではないので、
苦手な方もご安心を。

日本全国、
いろんなところがありますが、
ちょっと不思議な場所もあるようです。

かかしが住む村や
個人で作った貝がら公園など、
ちょっとアレな「迷」所の数々。

関西人にはご存じの
淡路島の巨大な観音像も
紹介されてました。
もう解体されてしまいましたが・・・。

そんな「アレ」なものたちも
住民にとっては普通のこと。

ところ変わればといいますが、
どこも個性的なものってあるのですね。

ちょっと変わった探検気分をお楽しみください。

 

(2023.07.03)

 

 

 世界で最後の花


ジェームズ・サーバー 著/村上春樹 訳(ポプラ社)1,760円

 

 

ウクライナでの戦闘は
いまだ治まりそうにありません。

それを受けて、
戦争関連の絵本などが復刊されました。

これもそんな1冊。
アメリカの絵本を村上春樹が翻訳して
あらためて出版されました。

世界大戦で文明が破壊されつくしました。
人間は何もかも「愛」すらも失ってしまいました。
ある時、一組の男女が
世界で最後の花を見つけました。
その花をきっかけに、
世界が、人間が、文明が戻り始めました。
全てを取り戻した人間は、
他人への不満を持ち始めて…。

シリアスで
実に皮肉とユーモアの効いた作品です。

実はこの本が
最初に刊行されたのは1939年。
第二次世界大戦開戦のころ。

名著が復刊するのは喜ばしいのですが、
今も戦争の本が必要なのは
複雑な思いがありますね。

平和を願った作者が
今の世を見ればどう思うのか。

あらためて読んでほしい一冊です。

 

(2023.06.26)

 

 

 クラフトビールを語らおう!


BRURUS編集(マガジンハウス)1,430円

 

 

すっかり暑くなりました。

暑い季節は
やはりビールですね!

キンキンに冷やしたビールを
1日の終わりに。

ということでビールの本です。

福知山でも作られています
クラフトビールの特集です。

クラフトビールといっても
その種類は実に様々。
見た目だけでも
黄色、赤、黒などなど。
味わいも
フルーティーからスパイシーまで。

自分の好みがわからず、
結局いつもの缶ビール。
それではもったいない。

無限に生み出される
クラフトビール。
きっとアナタ好みが見つかるはず。

とりあえずではなく、
あえてクラフトビール。
今年の夏はそれでいきましょう!

 

(2023.06.12)

 

 

 メメンとモリ


ヨシタケシンスケ(KADOKAWA)1,760円

 

 

私たちは生きている。
それはごくごく自然なこと。
だけど
人はなぜか「生きる」ことを
考えずにはいられない。

そんな「生きる」ことに
モヤモヤするアナタに贈る物語。

冷静なお姉ちゃんのメメンと
情熱化の弟のモリ。

ある日
モリはメメンが作ったお皿を割ってしまいます。
悲しむモリにメメンは
また作ればいいというのですが・・・。

モノはなくなる。
大事なのはいっしょに過ごした時間。

メメンのあたりまえでさりげない言葉が、
すとんとココロに落ちてきます。

生きるって
悩むけれど、
きっとすごくシンプルなもの。

憂鬱になりがちな
この季節になんでもない言葉が染みます。

 

(2023.06.05)

 

 

 物語の種


有川 ひろ(幻冬舎)1,650円

 

 

物語とは
その作者が一人で作り上げるもの。

リレー小説なんて合作もありますが、
文章を書く作業は孤独なものです。

そんな常識を
変えてみた意欲作がこちら。

「阪急電車」などで知られる
人気作家の有川ひろが
SNSの読者から
物語の「種」を募集。

そこから選んだ「種」を
元にして小説を書くというもの。

いわゆる
小説1本を使った大喜利です。

「種」もごくごく簡単なつぶやきから。
「ブログの猫がかわいいので猫で1本」
さてその仕上がりは?

コロナ禍で人との接触が減って、
誰かと何か面白いことができないかとはじまったこの企画。

小説が読者に影響を与えるように、
読者も作家に影響を与えている。

ぜいたくな文章の
キャッチボールをお楽しみください。

 

(2023.05.29)

 

 

 私が先生を殺した


桜井 美奈(小学館)902円

 

 

衝撃的なタイトルです。

物語のはじまりは
ある高校の避難訓練中。

全校生徒が校庭に集まる中、
一人の教師が屋上から飛び降りた・・・。

誰もがショックを受ける中、
教室にはさらに衝撃のメッセージが。

「私が先生を殺した」

学校一の人気の教師に何があったのか?
そして
誰かが先生を殺したのか?

語り手が次々と変わり、
先生との出来事を語っていくスタイル。

読み進むほどに、
生徒と先生の印象が
コロコロと変わっていきます。

そして
最後に明らかになる真相とは?

読み始めると
真相が気になってついつい一気読み。

そしてラスト。
見事に予想と印象をひっくり返されました。
ここまで
鮮やかに裏切られたのは久しぶり。

衝撃的なタイトルですが、
ホラー要素も猟奇要素もないのでご安心を。

本に騙されたいならこれ一押しです。

 

(2023.05.22)

 

 

 韓国ドラマの妄想ごはんレシピ帖


堤 人美 ワタナベ マキ(主婦と生活社)1,815円

 

 

今も人気の韓国ドラマ。

ラブコメにサスペンスと
そのジャンルもさまざま。

ゴールデンウィークには
ずっとドラマ観てた。
なんて方もいるのでは?

そんな韓国ドラマ。
いろんな魅力がありますが、
特に
「食事シーン」多いですよね。

ヤンニョムチキンなど、
ドラマからブームになったものも。

そんな料理たちを
自身も韓国ドラマの大ファンである
料理研究家が妄想で再現しました。

ただし、ドラマを見て作ったものなので、
本場のものとは違うことはご容赦ください。

ただしさすが料理研究家。
日本人の舌に合うおいしいものができあがりました。

料理だけでなく
二人の熱いドラマトークもあり、
韓国ドラマ愛にあふれた一冊です。

観て、作って、食べて。
存分に韓国ドラマの世界をお楽しみください。

 

(2023.05.15)

 

 

 家族ノート


はあちゅう(祥伝社)1,760円

 

 

5月14日は母の日。
6月18日は父の日と
家族の記念日が続きますね。

あたりまえのように
いっしょに過ごしている家族のこと。

意外と
知っているようで知らないことことも多いものです。

例えば、
お母さんの好きな食べ物。
昔と今と変わっていたりしませんか?

家族で話すきっかけにぴったりの一冊です。

この本はアナタが書き込んで完成します。
まずは家族の名前。
家族の趣味。
家族の好きな食べもの。
56問の質問にすべて答えられますか?

すべて書き込んだら
世界に1冊だけの
「家族」の思い出の記録が出来上がります。

普段言えない感謝の言葉もそえて、
この本で家族で話し込んでみてはいかがでしょう?

 

(2023.05.08)

 

 

 栗山ノート


栗山 英樹(光文社)1,430円

 

 

日本中が盛り上がったWBC。
野球好きもそうでない方も
こんなに盛り上がったのは久しぶりでしたね。

優勝の立役者の一人でもある栗山監督。

その仕事観や人生観を語ったこちらの本。

優勝直後は完売状態でして、
再入荷したので今さら語ってみます。

さて、栗山監督、
なんと小学校から野球ノートをつけているそうです。
その習慣は今も続き、野球だけでなく
人生や仕事など内容はさまざま。

そのノートがこの本の元になっているのですが、
驚いたのはその知識の幅広さ。
中国古典の思想や偉大な経営者たちの言葉など、
あらゆる言葉が引用されています。

何かをやり遂げるには、
専門のそれだけではなく、
あらゆることが力になるのでしょう。

WBCの監督も、
就任されたときは選手起用などで
コメンテーターやファンから
何かと言われてらっしゃいましたが、
これを読むと、
勝つべくして勝ったと思っちゃいますね。

私の無秩序な読書も仕事の役に立っている・・・といいなあ。

 

(2023.05.01)

 

 

 ぼくはいったいどこにいるんだ


ヨシタケシンスケ(ブロンズ新社)1,540円

 

 

4月ももう終わり。
春の新生活にもなれた頃でしょうか。

この季節は
出会いと別れの季節でもありますね。

そんな新生活の
不安や希望にぴったりの
絵本のご紹介。

おかあさんにもらった地図。
お店がどこかさっぱりわからない。

道をおしえてくれたお姉さん。
書いてくれた地図はとってもわかりやすい。

地図が苦手なひとと得意な人。

地図があればいろんなことがわかる。

自分はどこにいるのか。
どこにいきたいのか?

自分はどうしたいのか?

迷ったとき、
この本を開いてみれば
自分のココロに気づけるはず。

新たな一歩を踏み出すアナタに。
進む先が幸せでありますように。

 

(2023.04.24)

 

 

 汝、星のごとく


凪良 ゆう(講談社)1,760円

 

 

4月12日。

今年も発表になりました。

「本屋大賞」


なんと今年は

記念すべき第20回。


今や人気作家のあの人や、

最近どうした?なあの人など。

この20年間、

面白い本がたくさんありました。


さて、今回受賞の凪良ゆうさん。


前作「流浪の月」に続き

2度目の受賞です。


ニュースや新聞で

ご覧になった方もあるかもしれません。

今回の受賞は感慨もひとしおだったようです。


前回受賞は3年前。

コロナウィルスの流行で

授賞式も中止でした。


今回は授賞式も行われ、

その喜びを語ってくれていました。

そこまで喜んでもらえると

本屋としても嬉しいですね。


さて、作品は

瀬戸内の島を舞台に、

孤独と欠落を抱えた高校生男女の物語。

生きづらさを抱えながら、

それでも自分として生きていこうという希望の物語。


20年目の本屋大賞、

全国の本屋が本気で推す間違いなしの1冊です。

 

(2023.04.17)

 

 

 ぴょんぴょんぱんのかばんです


香山 美子/柿山 幸造(新日本出版社)1,320円

 

 

桜も咲き、すっかり春ですね。

そこで春らしい絵本をご紹介。

 

昔から春の定番ですので、

子どものころに

読んだことがあるかもしれませんね。

 

表紙から愛らしいこちらのおはなし。

 

かばんをつくったうさぎさん。

なんだかうれしくて

かばんといっしょに春の野原へ。

 

するとほかのどうぶつたち

うさぎさんのかばんを

うらやましがります。

うさぎさんは

ほかのどうぶつたちにも

かばんをつくってあげます。

 

なんとこちらの絵本、

初版は1982年。

もう40年も愛されています。

 

世界や世間が変わっても、

こんなやさしい絵本が

今も変わらず

子どもたちに愛されている。

 

大事なことは今も昔も変わらないのでしょう。

 

(2023.04.03)

 

 

 上海灯蛾


上田 早夕里(双葉社)2,200円

 

 

1934年上海。

日本を含む各国の思惑や、
阿片の流行など、
後ろ暗いエネルギーに満ちて
「魔都」と呼ばれ栄えた上海。

日本の貧しい山村から
成功を求めて上海へ渡った青年。

やがて彼は阿片をめぐる
裏社会と日本軍の陰謀に
引きずり込まれ…。

阿片による
巨額の富に引き寄せられ、
破滅していく男たちの物語です。

当時の上海は
よく映画や小説の舞台になりますね。

やっていることは犯罪ですが、
富と名誉を求めるエネルギッシュさは
人を引き付けてやまないのでしょう。

先は破滅とわかっていても、
熱く生き抜く彼らは魅力的です。

なお、この世界感を楽しみたければ
マンガの
「満州アヘンスクワッド」もオススメです。
小説より、詳しく当時の雰囲気が味わえますよ。

ダークサイドを覗いてみませんか?

 

(2023.03.27)

 

 

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