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 満月珈琲店 メニューブック


桜田 千尋( 玄光社)

 

 

「満月珈琲店」
というのをご存じでしょうか?

イラストレーターの
桜田千尋さんがWebで公開している
架空の喫茶店です。

満月の夜に出会える
幻想的な喫茶店をコンセプトに、
幻想的なお菓子や飲み物の
イラストが公開されています。

そのメニューも
新月のモンブランや
オリオン座のみたらし団子など
見た目だけでなく名前までステキなもの。

その世界観は多くの人を引き付け、
作家の望月麻衣さんが
イラストにほれ込み、
小説を書き上げたほどです。

そんな
魅力的なスイーツのイラスト。
まさに飯テロ。
しかも再現不可能なだけに
どんな味なのか
想像力がかきたてられます。

どこかコラボカフェとかで
再現してほしい・・・。

そんな魅力的なイラスト集。
月のきれいな秋の夜に
ふさわしい作品です。

 

 

 不思議で怪しいきのこのはなし


ホクトきのこ総合研究所(清水書院)1,650円

 

 

季節も秋になり、
食べ物のおいしい季節になりました。

「香りマツタケ、味しめじ」
なんて言葉がありますが、
どのきのこがお好きでしょうか?

最近、スーパーでも
たくさんの種類のきのこが並ぶようになりました。
中には
「これ食べて大丈夫なの・・・?」
なんて思うような
色鮮やかなもののありますね。

そんなきのこを
イラストで面白く紹介したこちらの本。

きのこの販売で有名な
「ホクト」が作成しており、
写真に雑学、レシピまで
いたれりつくせりのきのこ本です。

食用以外でも、
日本全国には
様々なきのこが自生しており、
かわいいものや不気味なものなど
見た目もバラバラです。

そんな奥深いきのこの世界。
知れば知るほど
味わい深い魅力に取りつかれそうです。

 

 

 毎日がもっと輝くみんなの文具術


日本能率協会マネジメントセンター 1,430円

 

 

9月です。
9月といえば本屋にとっては
日記・手帳・カレンダーの入荷時期。

夏休みが終わると同時に
気分はもう年末です。

さてそんな手帳。
お仕事やプライベートなど、
使い方も人さまざま。

中には
こだわり抜いて
自分らしくカスタマイズする人も。

この本では
そんなこだわり屋さんの
手帳使いをご紹介。

カラーペンやスタンプ。
マスキングテープなど。

色とりどりの便利文具で
自分だけのこだわり手帳に。

自分の好きな色やモノって
眺めるだけで気分がいいもの。

これなら
何度だって手帳をチェックしちゃいますね。

最近はスマホで
スケジュール管理が増えていますが、
自分だけの愛する手帳を作り上げるのも
いいかもしれませんよ。

 

 

 博物館のバックヤードを探検しよう!


DK社 編(河出書房新社)3,190円

 

 

「ナイトミュージアム」
という映画をご存じでしょうか?

ある博物館で
夜になると展示物が
好き勝手に動き出すという
コメディー映画です。

閉館後の
博物館や美術館など
普段公開されていない部分って
なんだかワクワクしますよね。

そんな気分を味わえる図鑑の登場です。

恐竜の骨格や
エジプトのミイラなど
博物館にはドキドキする展示物がいっぱいです。

その展示物が見られるのは
博物館の職員の人たちの
努力のおかげです。

展示物を修復や保存など、
博物館ではどんな仕事があるのか?

その驚きの裏側を大公開。

大変だけど
ロマンのあるお仕事に憧れちゃいます。

世界中の博物館へ
本で潜入してみましょう!

 

 

 酔っ払いが変えた世界史


ブノワ・フランクバルム(原書房)2,200円

 

 

コロナ禍で居酒屋などが大変な中、
部屋吞みの需要が増えているそうです。
最近の流行はレモンサワーで、
スーパーでもかなりの種類が並んでいますね。

酒と人とのおつきあいは
なんと
紀元前8000年から。
中近東でビールが生まれました。

そんなお酒をめぐる歴史のお話です。

酒で失敗したという話は
たまに聞きますが、
酒が世界を変えちゃったことも。

かのケネディ暗殺。
謎の多いあの事件の裏。
ケネディの警護はみな二日酔いだった!
なんでも、ケネディ本人もかなりのパーティー好き。
部下もまたご同様だったそうで・・・。

呑んでなければ
歴史はまた違ったかも?


そんな大事件の影にも酒あり。
歴史上の偉人達も
酒には勝てないようで。

お酒はほどほどにしておきたいものです。

 

 

 みつ


timatima(金の星社)1,430円

 

 

新型コロナウィルスの流行は
いまだ続いている現状。

本の中でも
それは切り離せないものになっています。

そんな中で生まれた絵本です。

タイトルは「みつ」。

甘いほうではなく、
今やニュースで聞かない日はない
「密」のほうです。

かわいい動物たちが
出会っておしゃべり。
気が付くとみっしりといっぱい集まっちゃった。
その中でせきをしている子が。
そうするとどうなる?

ウィルスの流行の仕組みと対策を
たのしく学べてしまいます。

子どもたちに
「集まらない」「しゃべらない」
そう言い聞かせるのは難しいもの。

ぜひこの絵本で教えてあげてください。

こんな世の中だから
生まれた絵本。
数年後には
思い出になっているのでしょうか…。

 

 

 兇人邸の殺人


今村 昌弘(東京創元社)1,870円

 

 

ミステリランキング4冠を達成し、
映画化もされた
「屍人荘の殺人」

そのシリーズの3作目がついに発売。

ゾンビ、予知能力と続きまして
今作は殺人鬼です。

13日の金曜日のジェイソンって、
若い方には通じるのでしょうか…?

さて、
舞台は廃墟を売りにしたテーマパーク。
ある科学者の研究資料を探して
園内の屋敷に忍び込んだ一行。
彼らを待ち受けていたのは
無慈悲な首切り殺人鬼だった!

ホラー映画の定番ですね。
怪しい噂のある所に忍び込んではいけません。
死亡フラグです。

今作も
どうしようもない極限状態での
謎説きが繰り広げられます。
常識が通じない相手に、
推理という武器で立ち向かい、
全てが論理で解決される。

理不尽をひっくり返す快感は
本の中だからこそ味わえる特権でしょう。

ぜひお楽しみくださいませ。

 

 

 世界の幽霊出現録


ブライアン・インズ(日経BPマーケティング)2,420円

 

 

夏です。
夏といえば怪談話。

みなさまは怖いのはお好きですか?

怪談話。
読むのだけなら好きですね。
昔、実話系の怪談を読んだ数日後に、
そこに登場した所に行くことになりまして、
なんとも落ち着けませんでしたね。
ちなみに大阪駅の某広場でした。

さてこれは世界中の
幽霊目撃話を集めた一冊。
一部では写真も収録。

外国ですからうっかり遭遇もありません。
安心して怖がれるというものです。

しかし、世界各国で幽霊話ってあるんですね。
またお国柄なのか国によって様々。

日本だと薄暗いイメージがありますが、
アメリカだと椅子をひっくり返すなど派手ですし、
イギリスだと生きている人と変わらず普通にいたり。

このへんの違いも不思議ですよね。
年代によって幽霊への受け止め方も違いますし。
そしてやっぱりみんな怪談話が好きなのね。

そんな古今東西の幽霊話。
ぜひ暑い夜にお楽しみくださいませ。
あなたの近くにもいるかもしれませんよ。

 

 

 

 先生、感想文、書けません!


山本 悦子(童心社)1,320円

 

 

いよいよ夏休み。

今年の夏休みはどうお過ごしでしょうか?

さて本屋的には
夏休みといえば
読書感想文。

毎年、課題図書を求めるお客様がいらっしゃいます。
その中には夏休み最終日に来られるお客様も・・・。

小学生から高校生まで頭を悩ませる読書感想文。

これはそんな小学生の女の子のお話。

クラスでひとりだけ
読書感想文を出さなかったみずかちゃん。

本を読むのは大好きで、
本を読むと色んな気持ちで胸がいっぱいになるけど、
どうしても感想文が書けません。

そこで思いつきました。
友だちのあかねちゃんのお話だったら書けるかも!

そこでまずあかねちゃんと
「あかねちゃんのお話」を書くことにしたのですが・・・?


読書って本来は本で楽しむこと。
お話を作ること。
お話で感じたことを言葉にすること。
なんだか難しそうだけど、
そんなに気負わなくてもいいんだよ。


この夏も
あなたが心に残る作品と出会えますように。

 

 

 かうかうからす


ほそい さつき(ポプラ社)1,595円

 

 

小さなお子様を連れてお買い物。
そうすると
お子さんがおねだりする事ってありますよね。
聞き分けがよければまだしも、

商品を手放さなかったり、
床に寝転んでじたばたしたり、
「買って」と泣き叫んだり。

駄々っ子に手を焼くこともしばしばかと。
当店でもよく見る光景です。

そんなお子様にぴったりの絵本です。

げんたは買い物に行くと
なんでも「買う買う!」とおねだり。

そんなげんたに隣のおばちゃんが言いました。

「買う買うばかり言ってるとかうかうからすになっちゃうわよ」

げんたがふと鏡を見ると、
そこには一羽のからすの姿が・・?


なんとも怪しい隣のおばちゃんが
「かうかうからすになっちゃうよ~」と
口ずさむ謎の歌にもドキドキ。
ぜひお好みのメロディーで
お子様を驚かせてあげてください。

きっとしつこいおねだりがおさまりますよ。

 

 

 あんなにあんなに


ヨシタケシンスケ(ポプラ社)1,320円

 

 

ヨシタケシンスケが送る
いつか大人になるきみと
むかし子どもだったあなたの物語。

成長したわが子を見て、
「あんなに○○だったのに」
そう思うことってありますよね。

あんなに欲しがってたのに家に帰るとポイとか。
あんなに泣いていたのにお菓子を見たらごきげんとか。
子育ては「あんなに」の連続です。

でもふと振り返れば
自分も「あんなに」と昔を振り返ってばかり。
あんなに悩んでいたのに。
あんなに好きだったのに。
いつのまにか忘れていたり冷めていたり。

子どもも大人も
「あんなに」をくりかえして
日常を過ごしていく。

あんなにあんなに
あんなにいろいろあったのに。

それでもまだまだ人生は続いていく。
そして次の代へ続いていく。

そんな人生のすばらしさを
思い出させてくれる絵本です。

 

 

 魔法のアイスレシピ


シズリーナ荒井(KADKAWA)1,430円

 

 

めっきり暑くなりました。
暑くなると食べたくなるものといえば
やはりアイスでしょう。

最近では種類もかなり増えて
コンビニやスーパーでも
ついつい色々買ってしまいます。

そのままでもおいしい
市販のアイスですが、
ひと手間で100倍おいしくなるという
レシピ本です。

著者は
48,000個以上のアイスを食べてきたという
アイスを愛する専門家。

クリームソーダやバニラシェイクに
あんみつやパフェなどの
ちょっとぜいたくなレシピなど
おいしいの組み合わせの鉄板レシピ。

そして
冷やし中華やカレーヌードルとの
組み合わせというごはんものにまで!

洋食に生クリームがあるようにアリなのかな・・・?

そんなちょっと気になるレシピもたくさん載っています。

まだまだおうち時間が続きそうな夏。
おうちでちょっとひと手間でオイシイものを食べましょう。

 

 

 たぶん、光秀はやってないのだ放浪記


本能寺姉弟(パレード)1,650円

 

 

「麒麟がくる」が終わっても
やはり福知山と言えば明智光秀。

そんな光秀関連の新刊をご紹介。

「本能寺の変って明智光秀は無罪なんじゃないの?」

そんな姉のふとした思い付きをきっかけに、
本能寺の変を調べ始めた姉と弟。

ひらめきと行動力はピカイチの姉と
それに付き合わされる理系技術者の弟。

光秀の登場する関連書籍を読み漁り、
ゆかりの地があれば実際に訪れる。

美しき景色に目もくれず
ひたすらに石垣を眺めてみたり、
誰もいない史跡で迷子になったり。

これは
光秀の無実を信じ続けた姉弟の
おかしくも大真面目な旅の記録です。

もちろん福知山にも来ていただいてます。
12月のものすごく寒い日に。
…お疲れさまでした。

そんなゆかいな旅の集大成は
「大切り本能寺の変」としてまとめられています。
姉弟のたどり着いた真相とは?
こちらもあわせてぜひお読みくださいませ。

好きなことに対する熱意は
やはりキラキラしてますね。
・・・同時にとても面白くもありますが。

 

 

 真夜中の小さなようせい


シン・ソンミ(ポプラ社)1,650円

 

 

韓国と言えば何が思い浮かびますか?

韓流ドラマやK-POPなど
日本でも大人気ですよね。

さて、もちろん
韓国でもいろんな本が発行されています。

これはそんな韓国の絵本です。

熱を出した男の子を看病するお母さん。
お母さんが疲れて眠ってしまった後、
男の子の前に小さな妖精が現れて…。

大人になって忘れてしまうけれども、
胸の中にしまってある懐かしい思い出。
そしてそのお話は子どもへと伝わる。
子どものころの大切なものを思い出します。

この作者の方、
韓国で人気のイラストレーターです。
伝統を感じさせる絵柄でありつつ、
やわらかで優しい雰囲気の素敵な絵です。

ドラマだけでは伝わらない
韓国で愛されている文化に
触れてみるのもいいですね。

 

 

 お通り男史 浄化古伝


亰 大路(双葉社)726円

 

 

京都の土地の特徴といえば
碁盤の目に例えられる通りでしょう。

〇〇通り○○上がる
そんな独特の住所が
あたりまえな町。

そんな通りをキャラ化した
小説がこちらです。


歴史ある京都の通りには
「通神」という神様がいます。

都を守ってきた神様たちは
人の悪意などから生まれる澱みを
浄化してきました。

しかし現在、澱みは増え続け、
神様たちは自分たちの姿を見ることができる
人間の力を借りることにしたのですが・・・。

「四条」や「河原町」など、
聞いたことのある名前のイケメン神様が
京都の町を守ります。

通りごとに趣が違うのも京都のいいところ。
住民が暮らす生の姿が小説で味わえます。

「推し」の通りがいれば、
通りの並びも覚えられる・・・かもしれませんよ。

 

 

 臨床の砦


夏川 草介(小学館)1,650円

 

 

新型コロナウィルスの流行により、
医療現場のひっ迫が報道されています。

しかし、現場で何が起きているのかは
なかなか伝わってはきません。

小説ではありますが、
命がけでコロナに立ち向かった
小さな病院の知られざる記録です。

現役医師が現場の窮状を目の当たりにし、
医療従事者の生の声を聴き、
書き上げたドキュメント小説です。

この未曽有の危機に、
最前線で立ち向かい、
周囲からの心ない言葉に傷ついても、
それでも誇りをもって
命を救うために奮闘する
彼らの生の姿が描かれています。

医療体制を批判するのは簡単です。
しかしそこには
決死の思いで危機に立ち向かっている人間がいる。

きっとそのことを忘れてはいけないのでしょう。

 

 

 四季彩図鑑


北山 建穂(みらいパブリッシング)1,980円

 

 

みなさんの好きな色って何ですか。

世の中には実に様々な色であふれています。

そんな色の中で、
はるか昔から愛されてきた
日本の伝統色を
紹介した一冊です。

この本が面白いのは、
色の紹介を
写真と説明だけではなく、
色に合わせた「詩」も併せて掲載しているところ。

日本人がその色をどう受け止め、
その名前を付け、
どんな感傷を抱いたのか。

カラーセラピーもあるように、
色って人の感情に影響しますよね。

そんな色と心に
思いをはせる一冊です。

なにかと鬱屈した気持ちになりがちな
こんな世情ですが、
私たちを取り巻いている
様々な色がきっと気分をはらしてくれます。

 

 

 CHANEL BOOK


エマ・バクスター・ライト(さくら舎)2,860円

 

 

ブランドに詳しくない方でも

「シャネル」の名はご存じではないでしょうか。

 

ドレスや靴、バッグにジュエリーに香水など、

まさに世界中の女性の憧れの的。

 

このブランドの始まりは

ココ・シャネルという女性から生まれました。

 

女性の社会進出がまだあたりまえでなかった時代。

 

女性を美しく、かつ女性が動きやすいように。

シンプルで実用的なのにエレガンスなデザインは

当時の女性を虜にしました。

 

そして、ココ・シャネル自身も

謎めいたアイコンとして、

今でも愛されています。

 

そんな彼女の生涯を写真や図案とともに

追いかけた一冊。

 

彼女の波乱万丈な人生すら、

ブランドの作品のようです。

 

美しく、そして格好良く。

自らの理想を掲げ、激動の時代を

颯爽と駆け抜けた彼女の姿は

憧れずにはいられません。

 

 

 きまぐれロボット


星 新一(角川書店)418円

 

 

巣ごもり需要で
紙の本が見直されているようです。

出版社も新しい作品ではなく、
過去の良作を出しなおしたりしています。

何年経とうが色あせないのが本の強みですね。

こちらはそんな中の一冊。

シュートショートの名手として名高い、
星新一氏の代表作。

博士の作ったロボットが
次第におかしな行動をとり
人間が振り回される
「きまぐれロボット」など、
人間たちが
発明や発見に一喜一憂する姿が
コミカルに描かれます。

昔、学生自分に読んだのを懐かしみつつ再読。

ロボットや宇宙人の登場にドキドキし、
最後のブラックジョークにニヤリとしながら
読んでいたものです。

そういえば
最近、ショートショートってあまり見ませんね。
児童向けに「5分間シリーズ」があるのが
近いでしょうか。

小学校の頃に5分間シリーズを読んでいた方や、
ちょっとした読書を楽しみたい方へ
ハズレなしの
不朽の名作はいかがでしょう。

 

 

 京都丸太町の恋衣屋さん


天花寺 さやか(双葉社)693円

 

 

京都といえば観光地。

また、寺社仏閣や舞妓さんなど
和装にも縁が深い土地でもあります。

観光客向けに
着物のレンタルのサービスもありますね。

そんな着物。
日常で着る機会はあまりなく、
成人式や結婚式など
特別な日の華やかさというイメージですね。

さてそんな和装がメインのラブストーリー。

地元山梨で転職活動中だった泰彦は
居酒屋で助けた女性に
熱烈なプロポーズをされます!

京都の貸衣装屋の常務という女性の
「仕事への」熱意を受け、
彼女の店で働くことにしたのですが・・・。

着物のように華やかで鮮やかな恋物語。

ヒロインは京都を
「居るだけで気分の上がる町」
と評しますが、
こちらは
「読むだけで気分の上がる本」
です。

 

 

 52ヘルツのクジラたち


町田 そのこ(中央公論新社)1,760円

 

 

今年も発表になりました本屋大賞。

今年の受賞作です。

タイトルの
「52ヘルツのクジラ」とは
他のクジラたちに聞き取れない高い周波数で鳴く、
世界で一頭だけのクジラのことだそうです。
過去に発見され、世界で一番孤独だと言われているそうです。

さてそんなこちらの作品。

自分の人生を家族に搾取されてきた女性と、
母に虐待されている少年が出会い、
一緒に過ごし始めるのですが・・・。


ここに登場するのは
傷を抱えた人たちばかりです。

児童虐待やDV,トランスジェンダーなど
マイノリティーとして見過ごされた人たち。

その孤独に真正面から向き合っています。

他人と違っても、
やはり他人の温かさを求めてしまう。
それは人として当たり前なのに、
なぜ難しいのか。
作品内でも明確に解決なんていきません。

それでも、こんな人たちがいるということ。
聞こえない彼らの「52ヘルツの声」が
世界には鳴っていること。

気づいてくれると幸いです。

 

 

 明日から使える死亡フラグ図鑑


茶んた(宝島社)1,100円

 

 

家で過ごすことが多くなった最近。

映画や海外ドラマなどを
見ている方も多いのではないでしょうか。

私もその一人でして。
面白そうな娯楽映画とかよく見てますね。

さてそこで、
洋画のアクション映画や海外ドラマって
よく人が死にますよね。

その死もドラマを盛り上げる必須事項。
盛り上げるための伏線というものがあります。

俗に言う「死亡フラグ」というやつです。

映画の中でこんなことをすれば死ぬぞ!
そんなシーンを1コマ漫画で解説。

見たことのあるシーンがもりだくさんです。
たとえば
「戦いの前に、婚約者の話をする人」
…確実に死にますね。

こうしてみると
映画のお約束ってなんと多いことか。
それを守りつつ面白くマンネリしないのが
脚本家の腕が問われるところでしょう。

そんな映画あるあるが楽しめるこちらの本。
読みすぎると
映画に没頭できなくなる恐れがありますのでご注意ください。

 

 

 チェス喫茶フィアンケットの迷局集


中村 あき(双葉社)748円

 

 

対戦ゲームといえば
今ではスマホゲームなのでしょうか?
日本には囲碁と将棋があるように、
海外ではチェスが一般的です。

海外ミステリでも
よく登場していて
憧れたものです。

さてそんなチェスをモチーフにした
青春ミステリの登場です。

ある事情で
高校生の柚子子(ゆずこ)は
チェス喫茶「フィアンケット」を訪れます。
偶然にもそこの代理マスターは
柚子子のクラスメイトの世野くんで・・・。

元気印の女子高生が持ち込む
高校で起こる不可解な謎を、
チェスの強者のクール高校生が
鮮やかに解き明かします。

1話ごとの謎も面白いのですが、
話しを重ねるにつれ
2人の関係性も変化していきます。

柚子子が世野くんに勝てる日はくるのか?

続きをぜひ出してほしい期待の新作です。

 

 

 MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密


チャーリー・ウェッツェル(すばる舎)1,870円

 

 

家ごもりの間、皆さんは何をして過ごしていましたか。
本を読んだりDVDを観たりしていた方も多いのでは?

そんな映画の話です。

「アイアンマン」や「スパイダーマン」など、
ヒーロー映画が世界中で大ヒットのマーベル。

元々は「アメコミ」と呼ばれる
アメリカのコミックを出版していた会社です。

今でこそ映画やドラマで不動の人気を得ていますが、
会社の歴史はまさに波乱万丈。

95年には不況のあおりで破産にまで追い込まれました。

再起を目指し、
社運を賭けた映画プロジェクト「アイアンマン」。
主役はロバート・ダウニー・Jrですが、
実は監督以外は誰もが反対だったそうです。

そんな不安なスタートでしたが映画は大ヒット。
その後、マーベル映画の快進撃は続き、今に至ります。

まさにアメリカンドリーム。
ヒーロー映画を生み出した彼らこそまさにヒーロー。

人気映画の舞台裏。
ちょっとのぞいてみませんか?

 

 

 想像ラジオ


いとう せいこう (河出書房新社)495円

 

 

東日本大震災を背景に、
生者と死者の関係をみつめた「想像ラジオ」

気がつけば
震災からもう10年が経ったのですね。

テレビで見た津波の衝撃は
今も忘れられません。

さて「想像ラジオ」ですが
10年まえに発表されてテレビなどでも話題になりました。

想像という電波で
生者と死者を繋ぐ「想像ラジオ」

亡くした人にもう一度会いたい。

その思いは大事な人を亡くした時、
誰もが感じるものでしょう。

せめて言えなかった一言を
伝えることができるなら。

震災から10年ということで、
久しぶりに読み返してみたのですが。

当時ほどの衝撃はないにしても、
喪失の理不尽と切なさ、悲しさは消えませんね。
被災された方ならばなおさらでしょう。

誰かを亡くした悲しみのとき、
そっと読み返したくなる作品です。

きっといつまでも名作として残る。
そんな気がします。

 

 

 満月珈琲店の星詠み 本当の願い事


望月 麻衣(文藝春秋)737円

 

 

イラストに影響を受けて
著者が好きなものを詰め込んだ
宝物のような小説。

好評につき第2弾です。

人生に悩む人の前にだけ現れる珈琲店。
ふしぎな猫たちが占星術とスイーツで
アナタに道を示してくれます。

迷うアナタの本当の願い事って?
意外と自分ではわからないものかもしれません。
そんな時に自分を見つめなおすきっかけとして
占いがあるのかもしれません。

さてさて
そんなアナタの心を癒すのが
スイーツです。
嫌なことがあっても
コンビニスイーツとかで浮上することありません?

今回も登場するスイーツが魅力的。
「射手座のりんご飴」
「新月のモンブラン」
などなど
文字だけでおいしそうです。

コラボスイーツとかレシピ本だしてくれませんかね・・・。

 

 

 教室に並んだ背表紙


相沢 沙呼(集英社)1,540円

 

 

学生の時、図書室は利用されてましたか?

これは
中学校の図書室を舞台にした物語です。

将来への不安や学校での人間関係など、
少女たちが抱える思春期の悩み。

大人になれば他愛ないことなのかもしれない。
だけど
少女たちには重くてつらくて悲しいもの。

それから逃げるように
彼女たちは図書室へたどり着きます。

そして出会うのは一冊の「本」。

読書を通して変わっていく
少女たちの心模様が繊細に描かれます。


読書とは別の世界を旅するようなもの。
つらいならば、せめてひと時、
現実から逃げてもいいんだよ。

迷う少女たちへ
物語が道しるべになりますように。

 

 

 言いにくいことはっきり言うにゃん


Jam(笠間書院)1,320円

 

 

とかく人間関係は難しいもの。

本屋に並ぶ自己啓発本も
人間関係に関するものの多いこと。

そしてそういう本に多いのは
「前向きに」
「ポジティブに」

プラス思考を推奨する言葉が多いんですよね。

ただ何でもプラスに考えられるならば
元々悩まないわけです。

そんなポジティブになじめない方には
こちらがオススメです。

仕事や友情、恋愛のモヤモヤを
厳しくも温かい言葉でズバッと解決。

それ誰かに言って欲しかった!
そんな本音の言葉が
きっと心を軽くしてくれます。

毎日明るく過ごしたいものですが、
たまには心に黒い猫がいてもいいですよね。

 

 

 夜に駆ける YOASOBI小説集


星野 舞夜 ほか著(双葉社)1,485円

 

 

紅白歌合戦に出場した音楽ユニットYOASOBI。

小説を音楽にするをコンセプトに、
独特の世界観と、
歌詞の奥深さ、
そしてそれを包み込む音楽で
今話題のユニットです。

その音世界の骨組みである
原作小説が本となりました。

描かれるのは
4組の恋愛の物語。

この物語が
どう解釈されてあの曲になったのか。
読めば曲が聞きたくなること間違いなし。

そして
すでに曲のファンの方には
この小説はどんな印象だったのでしょう。

イメージどおりだったのか。
それとも意外だったのか?

SNSの普及で、
音も文章も手軽に発表できる今。
表現の垣根はもはやないのかもしれません。
もう、小説は読むだけの時代ではないのでしょう。
それはそれで楽しみです。

 

 

 いちばん美しい季節に行きたい日本の絶景365日


TABIZINE(パイインターナショナル)2,090円

 

 

新型コロナウィルスの流行はいまだ収まらず、
京都にも緊急事態宣言が発令されました。

他府県への移動がはばかられる状況で、
観光にも行きにくくなってしまいました。

こんなときだからこそ、
本の世界に旅立ってはいかがでしょう。

まずは日本国内の名所をご案内。

1年365日、
その日にこそぴったりの観光地の
ベストショットを掲載。
毎日旅気分が味わえます。

1月は何といっても
富士山の初日の出。
そして
浅草へ初詣などいかがでしょう。

4月には
吉野から千鳥ヶ淵へ全国の桜を追いかける。

夏は全国の花火大会。

日本の四季の風景と
各地域の祭りを、
家にいながら楽しめます。


家にいることが進められる今、
本の世界ならばどこへでもいけます。

今後もいろんな本の世界をご紹介しますね。

 

 

 やねうらべやのおばけ


しおたに まみこ(偕成社)1,320円

 

 

今年最初のご紹介。

今年最初にふさわしい本・・・と
悩んだのですが、
最近一目ぼれした本にしました。

新年そうそう
黒い本で恐縮です。

こちらの絵本、
画像ではわかりにくいかもしれませんが
おばけがとにかくかわいい。

ある家の屋根裏部屋に
お化けが住んでいるのです。

この家に住む女の子が
屋根裏部屋に入ってきます。

おばけは追い出すために
怖がらせようとするのですが
女の子はこわがりません。

やがておばけは
女の子に会うのが楽しみになって・・・?


きっと
ともだちのはじまりってこんな感じですね。
相手のことが気になってしかたない。


人と会いづらい今だからこそ、
人と出会うことの貴重さがわかる気がします。

今年も
よき人とよき本との出会いが
皆様にもありますように。

 

 

 あつまれどうぶつの森 島ましましガイドブック


KADOKAWA 1,650円

 

 

今年も残すところわずか。

2020年のベストセラーが発表されました。

結果は
1位から5位までを
「鬼滅の刃」のノベライズ版と、
「あつまれどうぶつの森」のガイドブックが独占しました。

新型コロナウィルスの流行に伴う
巣ごもり需要がいかにすさまじかったかということでしょう。

出版業界もどうなることかと心配されましたが、
こうやってベストセラーが生まれるのはありがたいことです。

さてそんな「あつ森」
まだまだ人気は衰えてないようで
新しいガイドブックです。

自分でデザインするためのノウハウがぎっしり。
何より便利なのは
色ごとでデザインを紹介しているので、
お好みのコーディネイトがすぐ作れます。

外出自粛となりそうな年末年始。
あなたの島をグレードアップしちゃいましょう。

それでは皆様、
よいお年をお迎えくださいませ。

 

 

 サンタクロースっているの?


いもとようこ(金の星社)1,540円

 

 

もうすぐクリスマス。

子どもはもちろん大人も
なんだかワクワクしますよね。

親御さんはケーキやプレゼントの準備に
大わらわといったところでしょうか。

クリスマスといえばサンタクロース。

サンタクロースがいるのかいないのか?
これは子どもが誰もが抱く疑問でしょう。

この絵本はそんな疑問に答えてくれます。

時は1897年。
アメリカの8歳の女の子が、
ニューヨークの新聞社に手紙を送りました。

「サンタクロースっているの?」

さて新聞社のお答えは?

その答えはぜひ絵本を読んでみてください。

その素敵な答えは
今もクリスマスの時期になると
アメリカの新聞の社説に掲載されるそうです。


目に見えなくても、
サンタクロースを愛する心がある限り、
サンタクロースは「いる」のです。

 

 

 コンビニかんたんごはん


村上 祥子(海竜社)1,430円

 

 

ついつい頼ってしまうコンビニ弁当。

栄養を考えると
自炊した方がいいんですけどね。

そんな同志にオススメなのがこちら。

コンビニの食材で
しっかり栄養を取るレシピ集です。

食材はなんと
コンビニにあるものだけ。

気になるメニューは
「豚角煮とトマトのすき焼き」
「ビーフカレーうどん」
「ブロッコリーとしらすごまあえ」

本格的でおいしそうです。

最近では
コンビニの総菜や冷凍食品も
実に豊富ですよね。

それに店舗によっては
生野菜も扱っていますし。

一人暮らしだと
少量で買えるので
逆に経済的かもしれません。

栄養が気になるアナタ。

まずはコンビニで
自炊生活はじめませんか?

 

 

 鬼滅の刃23


吾峠 呼世晴(集英社)506円

 

 

いよいよ発売になりました最終巻。

映画も驚くほど好評のようで、
最終巻を心待ちにしていた方も多いでしょう。

いよいよ
無惨との決着です。

果たして
どんな結末を迎えるのか?
ぜひお確かめください。

今年は
新型コロナウィルスの流行で
休業を余儀なくされた書店もありました。
現在も商業施設などは客足が厳しいようです。

また出版社も出社自粛で
雑誌が発行できない期間もありました。

そんな出版業界の厳しい中、
「鬼滅の刃」が大ブームに。

ステイホームの風潮もあり、
コミックや関連本が大変売れました。

長年、不況が叫ばれている出版業界ですが、
何かしらベストセラーが生まれるんですよね。

ありがたいことに
当店でもコミックを求める
たくさんのお客様にご来店いただきました。

お家で過ごす今年だからこそ
あらためて本の魅力が
見直されているのかもしれません。

やっぱり本っていいですね。

 

 

 イッカボッグ


J・K・ローリング(静山社)2,420円

 

 

ハリー・ポッターの作者による新しいファンタジー。

世界一幸せな王国コルヌコピア。
何もかも完璧なこの国の北には
薄暗い霧の土地がありました。
伝説によるとそこには
「イッカボッグ」という怪物が棲んでいました。

誰もがその怪物は
子どもをおとなしくさせるための
おとぎ話だと思っていました。

ところが伝説は独り歩きを始めて・・・?


このお話、
もともとは作者が
子どもを寝かしつけるためのお話でした。

今回のコロナウィルスによるロックダウン中、
自宅で過ごす子どもたちに楽しんでもらうため
オンラインで無料公開されました。

今回の書籍化にあたり、
挿絵コンテストで一般応募された作品が
挿絵に使用されています。

子どもたちのおやすみ前に
読んであげたいそんな優しい作品です。

 

 

 小説 STAND BY ME ドラえもん2


藤子・F・不二雄:原作 山崎 貴:著(小学館)616円

 

 

「ドラ泣き」こと涙必至の
3DCG版の映画ドラえもんの第2弾がいよいよ公開。

その最新作のノベライズです。

原作でも泣けると評判の
おばあちゃんのエピソードと
のび太としずかちゃんの結婚エピソードを軸に、
ステキな物語が生まれました。

タイムマシンでおばあちゃんに会いに行ったのび太は
おばあちゃんの
「のびちゃんのお嫁さんを一目見たい」
という願いを叶えるために未来の結婚式当日へ。

ところが新郎の青年ののび太が行方不明に!
青年ののび太はどうして会場から逃げ出したのか?

おばあちゃんの願いを叶えるために
小学生ののび太とドラえもんが奮闘します。


今回あらためて小説を読んでみました。

大人になってからのほうが
心に刺さりますね。

結婚という大きな転機。
家族になる決意というのは
重くても嬉しいもの。
ただ、その喜びも
日々の生活で忘れそうになってしまうんですよね・・・。

忘れそうになる大切なもの。
それをドラえもんのエピソードは教えてくれます。
だからこそ、
世代を超えて長く愛されているのでしょう。

 

 

 おかしなあみもの


フィグイング(西東社)1,430円

 

 

秋から冬の手芸の定番と言えば「編み物」。

マフラーやセーターなど
冬のアイテムをちまちま編むのも
趣があるものです。

そんな数多くの編み物の本から
変わり種をご紹介。

その名も
おかしなあみもの

おかしといってもお菓子ではありません。

表紙からうかがえるでしょうが、
その本で編めるのは

「かいわれ大根」

「餃子」

「土偶」

「アマビエ」

・・・ふざけてませんよ?

正直編んでどうするものでもございません。

出来上がって笑っていただけたらそれでよし。

冬の夜、なにをするでもないちょっとした時間に、
てなぐさみにこんな編み物はいかがでしょう。

やるべきことに追われる毎日、
こんななんでもない過ごし方も
心のゆとりに必要かもしれません。

 

 

 拝啓、本が売れません


額賀 澪(文藝春秋)693円

 

 

近所の書店に自分の本が
置いていないことに心を痛める作者。

自著の初版数の減少を機に、
自分の本を売るための道を模索します。

さてここに登場するのは
作家をはじめ、編集者やデザイナーなど
本を作るプロフェッショナルに、
書店員という本を売るプロまで登場。

一冊の本を
どうやって「売れる本」にするか
ノウハウや考えを語ります。

そして作家は
この取材を生かして、
次回作に勝負をかけるのです!


出版不況が叫ばれ、
本が売れない時代と言いながらも、
一冊の本を売るために、
実にたくさんの人が関わっています。

世にはたくさんの「いい本」であふれています。
アナタが好きな本もきっとあるでしょう。
ただ悲しいことに本も商売。
売り上げという形で示さなければ、
その本の価値は世に認められません。

もし、アナタが面白い本に出合って、
その作者の本をもっと読みたいと思うなら、
その本を正規のルートで買ってあげてください。

本を買うことは作家への投資でもあるのです。

ちなみにこの作家の勝負作、
「風に恋う」はオススメですよ。

 

 

 鬼滅の日本史


小和田 哲男:監修(宝島社)1,100円

 

 

アニメ「鬼滅の刃」の劇場公開作が
ものすごく人気だとニュースで取り上げられました。

ありがたいことに
当店でもコミックスが大人気です。

そんなわけで
「鬼滅の刃」がさらに楽しめる
関連本をご紹介です。

昔から日本は
「鬼」の逸話の多い土地柄。

福知山市でも
大江山の酒呑童子の逸話がありますね。

そんな数多くの鬼の逸話から
「鬼滅の刃」のアレコレを徹底考察。

すると
鬼滅の刃には
実際の鬼の逸話が
ふんだんモデルにされているようです。
アニメではわからなかった謎も、
「そういうことかな?」と
検証されているのは面白いです。

鬼の存在と疫病が関連付けられ、
ヒットの裏側には
現在の新型コロナウィルス流行も
影響しているというのも
面白い考察です。

アニメやコミックから
日本の歴史に興味を持つのも
楽しいですね。

 

 

 キニ子の日記(上)


間部 香代(WAVE出版)1,320円

 

 

小さいころ、親や先生に
「あれって何?」と
質問攻めにしたことはありませんか?

当時、
世界は不思議に満ちていた。
また
わからないことはすぐに聞いたものです。
まあ、
最後には
親に「うるさい!」と言われたものですが。

そんな
世の中の
ささいでどうでもいいこと。
でも気になってしまうアレコレに答える絵本です。

いろんなことが気になる
小学6年生のキニ子さん。

質問を書いた日記帳に
担任の先生が答えます。

たとえば
水泳のバタフライって何?
信号機の電気代ってどこが払うの?
などなど。

印象的なのは
「お母さんは自分を女子っていうけど、女子って何歳まで?」

・・・そこはそっとしておいてあげてください。

小学6年生の素朴な疑問。
アナタの
いまさら聞けない
子どもの頃の疑問が解けるかもしれませんよ。

 

 

 Another 2001


綾辻 行人(KADOKAWA)2,640円

 

 

前作から7年。
続編の予告はされていた「Anoteher」がついに発売。

「死者」がクラスに紛れ込み、
クラスの関係者が次々に死んでいく現象。

前回の惨劇から3年。
新たな夜見北中3年3組の生徒たちは
特別な対策を講じていた。

対策は成功し、惨劇は封じ込めたはずだったのだが…。


待ちに待った綾辻行人氏の新作です。

学園パニックホラーであった前作と同じ舞台で
新たな悲劇が幕を開けます。

今回は前作のからくりを知っていると
逆に足元をひっくり返されます。

前作で有効だった「死者」への対策が
実現しては打ち砕かれる繰り返し。
ジェットコースターのような展開に
思わず一気読みしてしまいました。

対策をあざ笑うように惨劇もエスカレート。
2001年のあの事件が登場したときは
さらにぞっとしました。

そして最後に
惨劇の仕組みが解き明かされるのは
見事というほかありません。

秋の夜長にぴったりの大作。
ぜひ時間に余裕をもってお読みください。

 

 

 この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版


住野よる(新潮社)1,870円

 

 

「君の膵臓を食べたい」で知られる
ベストセラー作家の住野よるによる初の恋愛小説。

なんと
作者自身が愛してやまないバンド
「THE BACK BORN」とのコラボレーションが実現。

作品の構想段階から
お互いに打ち合わせを重ね、
創作の過程も共有する徹底ぶり。

お互いの作品同士が共鳴して
物語の世界がぐんと広がるようです。

物語は高校生の時に
運命的な出会いをした少年。

やがて青年となり
過ぎし日の思いだけを大事に抱えながら
退屈な日々を過ごしていたのですが…

読みながら繰り返し聞いていたのですが、
青春って夏のイメージがある気がします。

音楽も相まって
照りつける夏の青空の下で、
もどかしい思いを叫ぶような情景が浮かびます。

少年のころに抱いた激しい思い。
どんなに忘れられなくても
その熱量は時とともに冷めていくもの。

それでもその思いは
決して色褪せず、消えることはない。

それはまるで
夏の日の思い出のようだと思うのです。

 

 

 あの夏が飽和する


カンザキイオリ(河出書房新社)1,540円

 

 

カリスマ的ボカロPが
自身の楽曲をもとに書き下ろした小説デビュー作。

ボカロPとは
ボーカロイドを使って作った楽曲を
youtubeなどの動画で発表する人たちです。

小説に合わせて動画も公開されています。
きれいな声で叫ぶように歌うのが印象的でしたね。

さて物語は
かつて高校生だった青年と
今、高校生の男女たちとの物語。

癒されない傷を抱えて
愛されたいと渇望しながら
誰もが孤独にもがいている。
そんな物語です。

自殺や出会い系サイトや虐待など
かなり重い設定です。

ただ、楽曲のコメントを見ると
10代からの共感がすごいんです。

思春期って後ろ暗いものに惹かれるものですが
今の10代のリアルって・・・。

読んでいて感じたのは
孤独感と不器用さですね。
スマホの普及で
コミュニケーションは昔より便利になったはずなのに、
逆に人と話すことが難しくなっているような気がします。
身近な誰かに「助けて」と言うこと。
どうしてこんなに言えなくなってしまったのでしょう。

今の10代の抱えるリアルを映した
青春ミステリ。
今の時代だからこその作品です。

 

 

 リュウジ式 悪魔のレシピ


リュウジ(ライツ社)1,430円

 

 

本屋大賞に始まり
本屋が選ぶ本というのも増えました。

その一つが今月発表になりました。

その名は
「料理レシピ本大賞」

書店員が今年発売された料理本の中のベストを選ぶというもの。
今年のスローガンは「食は本能の言葉」です。
おいしいものに言葉はいらないといいますしね。

当店も投票に参加しました。

その大賞に選ばれたのがこちら。

テレビでもおなじみリュウジさんの悪魔のレシピ。

悪魔のレシピというと
高カロリーを思い浮かべそうですが、
半数が低糖質です。
今の時代にあってますね。

こちらのレシピ、
何点か作ってみましたが謳い文句のとおり
悪魔的においしいです。

しかも作り方が簡単なので
この本のレシピしか作らなくなる誘惑が・・・。

でも手間をかけずにおいしいって最高ですよね!

最短で最高の味が作れるこのレシピ本。
お忙しいすべての方へ美味しさを届けてくれます。

 

 

 麒麟を呼ぶ


福島 慶太(PHP研究所)1,650円

 

 

当店関係で失礼します。
この度、当社社長が自著を出版いたしました。

福知山光秀プロジェクトに関わり、
大河ドラマ誘致に奔走したこと。

福知山への愛情。

書店経営者として出版業界の危機感。

そんな魂のこもった一冊です。

福島文進堂は昔より
町の本屋さんとして
福知山の皆様に大変
お世話になってまいりました。

しかし
書店を取り巻く環境は厳しく、
全国的に町の本屋さんが
姿を消していっています。

そんな中で、
当店は今後も福知山の皆様とともに
どのように歩んでいくのか。

改めて
当店の立ち位置と書店業界の未来を
考えさせられ、背筋の伸びる思いがしました。

この先も
福知山の皆様とともに歩んでいくために。
麒麟のくるような店でありたいものです。

 

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